2017.10「マハーバーラタ戦記」in芸術祭十月歌舞伎(歌舞伎座)感想

暇を持て余した神々の歌舞伎

神々が登場する歌舞伎をやる、と聞いたとき

ついついモンスターエンジンを想像しました。


インドを舞台にした新作歌舞伎。

正直どうだろう、と半信半疑でいたんですがとても面白かったです。


事前にテレビの特番で制作過程を見ていたので、裏側を見ているぶんなおさら楽しめました。

衣装とか音楽とか、かなり凝ってます。

以下、雑レポートです。


●幕開きは忠臣蔵の大序?

●インド音楽が案外マッチしてて感動

●太陽神は顔が面白くて話が入ってこない

●死んだ牛をかかえたヤバい爺さん

●インド哲学的なことめっちゃ言う

●両軍が両花道で口上やるとこは御所五郎蔵?

●戦闘クライマックスのベンハー感(ベンハー見たことないけど)

●七之助、亀蔵コンビに漂う阿弖流為感



とにかく感動したのは音楽です。

インドの楽器を使った音楽がうまくマッチしていて鳥肌たちました。

緊迫した場面の音楽は特によかった記憶があります。

緊迫感を5割り増しくらいにはしてたかなと。


また、演奏している方々が舞台上でむき出しなので、それを見ているのもまた楽しい。

今作のMVPはこの“音楽”でしょう。


あと、七之助、亀蔵コンビに漂う阿弖流為感はすごかった。笑

亀蔵の「勝つためには手段を選ばない」というセリフとか

七之助が二刀流で戦うところとか

もうこれって阿弖流為から完全にキャラ設定輸入してますよね?

菊五郎劇団の中でこの二人の魅力が強烈なインパクトを残してました。


今月は新橋演舞場ではワンピースが上演中。

新しい歌舞伎の風が吹く芸術の秋です。


日印友好交流年記念
青木 豪 脚本
宮城 聰 演出
新作歌舞伎

極付印度伝 マハーバーラタ戦記

序幕 神々の場所より
大詰 戦場まで


【あらすじ】

 神々によって人間界に生を受けた迦楼奈(かるな)と阿龍樹雷(あるじゅら)。同じ母を持つ兄弟でありながら、それぞれが使命を背負い、二人は雌雄を決する戦いへと向かっていくのでした―─。
 古代インドの神話的叙事詩「マハーバーラタ」。「マハー」は「偉大な」を意味し、「バラタ」は「バラタ族」を表しています。日印文化協定発効60周年の今年、「偉大なバラタ族」の物語である「マハーバーラタ」が、『極付印度伝 マハーバーラタ戦記』として歌舞伎座に登場します。王位継承を巡り争う人間の葛藤を描いた壮大な新作歌舞伎です。
 ここは神々の世界。那羅延天(ならえんてん)をはじめ、太陽神(たいようしん)、大黒天(だいこくてん)、帝釈天(たいしゃくてん)、シヴァ神(しん)、梵天(ぼんてん)ら多くの神々が集い、人間界を見下ろしています。神々は争うことを繰り返す人間界を嘆きます。そんななか、人間界に救いの手を差し伸べたのは太陽神。象の国の幼き汲手(くんてぃ)姫に子を授け、その子、迦楼奈を、平和を以って人間界を平定する救世主として君臨させようと試みます。しかし、汲手姫は迦楼奈を出産するも、赤ん坊の迦楼奈をガンジス川へ流してしまいます。そして、太陽神と対立する帝釈天は、力を以って世界を支配するべきだと、こちらも汲手姫に子を授けます。帝釈天の子の名は阿龍樹雷。
 歳月は流れ、迦楼奈は天性の弓の才能を秘めた青年へと成長を遂げます。ある日、迦楼奈は太陽神から、迦楼奈こそが人間界の救世主であるとお告げを受けます。迦楼奈が母羅陀(らーだー)に夢のことを打ち明けると、羅陀は実の親ではないことを明かします。自らの宿命を悟った迦楼奈は、弓の修業のために家を出る決断をし、都へと旅立ちます。
 迦楼奈がやってきた都では、王族として育てられた阿龍樹雷王子ら五王子と、従兄弟にあたる鶴妖朶(づるようだ)王女の姉弟が王位継承を巡り争っています。そこへ仙人久理修那(くりしゅな)が仲裁に入り、武芸大会で王位にふさわしい者が誰かを競うことになります。迦楼奈もその武芸大会に出場し、阿龍樹雷王子と相対しますが、身分が明らかでないために虐げられます。汲手姫は、自らがガンジス川に捨てた幼子が迦楼奈だと気づき卒倒、大会は中止となります。鶴妖朶王女は迦楼奈を味方につけ行動を共にします。因縁ある鶴妖朶王女と阿龍樹雷王子の争いは激化の一途を辿り、いよいよ戦いの火蓋が切って落とされ、迦楼奈は宿命のライバル、阿龍樹雷王子と対決するのでした…。

歌舞伎美人より)


【配役】

●迦楼奈(かるな)/シヴァ神(しん)
 菊之助

●汲手姫(くんてぃひめ)
 時蔵

●帝釈天(たいしゃくてん)
 鴈治郎

●鶴妖朶王女(づるようだおうじょ)
 七之助

●百合守良王子(ゆりしゅらおうじ)/多聞天(たもんてん)
 彦三郎

●風韋摩王子(びーまおうじ)
 坂東亀蔵

●阿龍樹雷王子(あるじゅらおうじ)/梵天(ぼんてん)
 松也

●汲手姫(くんてぃひめ)/森鬼飛(しきんび)
 梅枝

●納倉王子(なくらおうじ)/我斗風鬼写(がとうきちゃ)
 萬太郎

●沙羽出葉王子(さはでばおうじ)
 種之助

●弗機美姫(どるはたびひめ)
 児太郎

●森鬼獏(しきんば)
 菊市郎

●拉南(らーな)
 橘太郎

●道不奢早無王子(どうふしゃさなおうじ)
 片岡亀蔵

●修験者破流可判(はるかばん)
 権十郎

●亜照楽多(あでぃらた)
 秀調

●羅陀(らーだー)
 萬次郎

●弗機王(どるはたおう)/行者
 團蔵

●大黒天(だいこくてん)
 楽善

●太陽神(たいようしん)
 左團次

●那羅延天(ならえんてん)/仙人久理修那(くりしゅな)
 菊五郎

歌舞伎美人より)


0コメント

  • 1000 / 1000