2017.8「東海道中膝栗毛 歌舞伎座捕物帖」in八月納涼歌舞伎(歌舞伎座)感想

MVPは竹三郎じいさん


昨年の納涼歌舞伎に引き続いてのやじきた珍道中。

今回は歌舞伎座で起きた殺人事件を解決するという物語。

もはや道中ものですらありません。笑


スピーディーでテンポの良い展開、豪華な俳優陣、劇中劇の趣向などなど、様々なネタ、演出が散りばめられ、緻密かつダイナミックなお芝居でした。

楽しかった!


配役も豪華です。

昨年のメンバーに加え中車、中村屋兄弟が参加。

パワーアップしてます。もはやプチ俳優祭。

その配役も楽しめました。


だけど、「謎解き」というその緻密さがちょっと歌舞伎とは不向きな感じも覚えました。

歌舞伎特有のおおらかさとは相反するものですので、少し理屈っぽすぎるかなと。

そういう意味では前回のやじきたは、荒唐無稽な展開がしっくりきたのかもです。


個人的おもしろポイントは此方。

●前作と繋がる形で宙乗り登場の弥次さん喜多さん

●狐忠信にやたら詳しい喜多さん

●香川照之、NHKのカマキリ先生を歌舞伎でパロる

●香川照之、満を持しての土下座(BGMもしっかり半沢)

●七之助、勘九郎は次の舞台の準備があるのでと言っちゃってはける

●「四の切」バックヤードツアー

●竹三郎さん、寿猿さん 高齢者同士の喧嘩

●竹三郎さんの赤姫

●竹三郎さんの老死


MVPは竹三郎さんです。笑

(イラストも怒った時の赤姫姿を描きました)



今回お芝居を見て思い出したのは「古畑任三郎」。

ご存知の方も多いとは思いますが、古畑任三郎で歌舞伎役者が殺人を犯す回があるのです。

堺正章演じる中村右近という役者が自身の公演中、誰もいない深夜の舞台で警備員を殺します。

その時中村右近がやっていたのが狐忠信。四の切です。

偶然の一致なんでしょうが、今回のやじきたを見てこれを思い出した方も多かったのでは??


登場人物にもいろんな推理もの作品のパロディが。

七之助演じる女医の羽笠(はがさ)博士はアガサクリスティー。

亀蔵さん演じる戸板雅楽之助は歌舞伎を舞台にした推理小説の主人公「中村雅楽」とその作者「戸板康二」から。

猿弥さん演じる古原仁三郎はもちろん「古畑任三郎」から。

猿弥さんに関しては、ちょいちょいモノマネも挟まりました。笑


今回感じたのは、歌舞伎初心者よりある程度知ってる人の方が楽しめるのでは、ということ。

例えば四の切のお馴染みの演出はお客が知ってる前提で進みますから、知らない人は少し意味が伝わらない場面もあるはず。

とはいえこれを入り口にして四の切に興味を持った人もいるでしょうから、そんな方はぜひ次に劇場で四の切がかかる時は見に行ってみてください!


***


舞台とは関係ないですが、隣の席のお客様がリアクションが激しすぎて集中して観劇できなかったのは少しショックでした。。。笑

面白いのはわかりますが、、

周りに優しい観劇スタイルでお願いします。。



十返舎一九 原作より
杉原邦生 構成
戸部和久 脚本
市川猿之助 脚本・演出

東海道中膝栗毛
歌舞伎座捕物帖(こびきちょうなぞときばなし)

弥次郎兵衛・喜多八 宙乗り相勤め申し候


【あらすじ】

弥次喜多が歌舞伎座で巻き込まれた大事件

 お伊勢参りから江戸へと戻った弥次郎兵衛と喜多八。先の珍道中で一文無しとなった二人は、仕方なく歌舞伎座で黒衣のアルバイトを再開します。劇場では連日大入り満員で芝居は大盛り上がり。しかし、舞台裏では俳優の悪い噂が流れ不穏な空気が漂っています。一方、弥次喜多の二人は、相変わらずの失敗続き、怒られてばかりの日々です。そんなある日、舞台上で身の毛もよだつ事件が発生。弥次喜多の二人は犯人として疑われてしまい…。

 (歌舞伎美人より)


【配役】

弥次郎兵衛    染五郎

大道具伊兵衛   勘九郎

女医羽笠     七之助

座元釜桐座衛門  中車

天照大神
又は町娘お笑   笑也

瀬之川伊之助   巳之助

中山新五郎    新悟

玩具の左七    廣太郎

芳沢綾人     中村隼人

女房お蝶     児太郎

舞台番虎吉    虎之介

伊之助妹お園   千之助

伊月梵太郎    金太郎

五代政之助    團子

瀬之川亀松    鶴松

芳沢小歌     弘太郎

瀬之川如燕    寿猿

芳沢菖之助    宗之助

芳沢琴五衛門   錦吾

若竹緑左衛門   笑三郎

同心古原仁三郎  猿弥

同心戸板雅楽之助 片岡亀蔵

鷲鼻少掾     門之助

関為三郎     竹三郎

喜多八      猿之助

 (歌舞伎美人より)


【上演時間】

105分


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昨年の「東海道中膝栗毛」感想はコチラ

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