2017.1「猿翁十種の内 黒塚」in壽新春大歌舞伎(歌舞伎座)感想

悲しきババアの激おこ舞踊

「黒塚」は特に好きな演目のひとつ。


初めて見たのが、ことし1月にあった右團次さんの襲名披露公演(感想コチラ)。

念願の黒塚でした。


何でしょう、、内容とか構成とか、

黒塚には色んな惹かれるポイントを感じます。

【内容】

あるババアの家に泊まらせてもらうことになった旅の僧たち。覗いてはいけないと言われた部屋を覗いたことでババアは激おこ。鬼の正体を表したババアは僧たちに襲いかかる。


かなり雑ですがこんな感じです。笑

非常にわかりやすいストーリー。

「覗いてはいけない」とか「お婆さんが実は鬼だった」とか、日本人なら昔話などでお馴染みのような要素が詰まっていて、ワクワクする内容なんです。


【構成】

全部で三つの“景”で構成されていて、これがなかなか面白いですよね。

黒塚は「舞踊劇」とジャンルわけされることが多いと思いますが、1景ごとの構成はこんな感じ。

●第一景:老女と阿闍梨一行の出会いを“能”の雰囲気で見せる

●第二景:老女による月明りの下での“舞”

●第三景:鬼と化した老女VS阿闍梨一行 “歌舞伎”的な大立ち回り


第二景、月下での老女岩手の踊りにはつま先で踊る場面がありますが、これは初演の二代目猿之助が「ロシアンバレエ」の踊り方をとりいれたと言われています。


また、黒塚の音楽では歌舞伎には珍しい「長唄+筝+尺八」が採用されており、これが劇中の怪しい雰囲気を演出します。


上記のように、澤瀉屋の家の芸「黒塚」は他の歌舞伎作品にはない独特のオリジナリティに溢れているのです。

▲ちなみに幕開きでは厳かな雰囲気を演出するため、入場禁止!



今後も猿之助さんには演じ続けてもらいたいし、その姿を見続けていきたい。

何度見ても発見がありそうで、奥の深い舞踊劇です。


ちなみに二代目猿翁(三代目猿之助)さんが演じた黒塚はDVDが販売されていますので、興味のある方はご覧になってみては?



猿翁十種の内

黒塚


【あらすじ】

猿翁十種の一つである人気の舞踊劇
 芒が生い茂る奥州安達原を行く、諸国行脚中の阿闍梨祐慶一行。岩手という老女の家に一夜の宿を請うことに。一行をもてなす岩手は、糸繰り唄を唄いながら、自らの不幸な身の上を語り始めます。しかし、祐慶の言葉に心が救われた岩手は、一行に奥の閨を決して見てはならないと固く禁じ、山へ薪を取りに出かけます。ところが、強力が一間を覗いて しまい…。
 古典性と近代性が融合した舞踊劇で、鬼女の恐ろしさと人間性を深く描き出しています。

歌舞伎美人より)


【配役】

老女岩手実は
安達原の鬼女 猿之助

山伏大和坊  門之助

強力太郎吾  猿弥

山伏讃岐坊  中車

阿闍梨祐慶  右近改め 右團次

歌舞伎美人より)


【上演時間】

70分



oboegaki

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