2017.7「盲長屋梅加賀鳶 加賀鳶」in七月大歌舞伎(歌舞伎座)感想

海老蔵の目芸

海老蔵さんが梅吉と道玄、中車さんが松蔵を初役でつとめます。


当月は海老蔵の奮闘公演ともいえるほどの出ずっぱり。

いままで七月といえば、三代目猿之助の奮闘公演がお馴染みだったようですね。

その時代を私は知りませんが過去の上演記録などを見て、その“奮闘”具合に驚きました。笑


6月に真央さんを亡くし、精神的にも辛い中で、初役や新作(駄右衛門花御所異聞)が重なったのは相当な苦労があったはず。


そんな中、初役でつとめた「加賀鳶」梅吉・道玄ですが、すごく馴染んでる印象でした。

特に道玄。

見る前、演目の予習をしている時は「この役、海老蔵じゃちょっと…」という気もしてましたが、意外と合っているかも!


まず目力が活きてる。

「盲目のふりをしている」という設定に、いいスパイスです。

それに、中車さんとの「竹町質店の場」でのやりとりでは追い詰められていく道玄の心境を目で巧みに、コミカルに表現していました。これが楽しかった。


それと、海老蔵という人間が持つ「闇」の部分がうまく投影されています。

海老蔵は、荒事でヒーローを演じるのもいいですが、悪人を演じてもいい味がでるんですね。。


加賀鳶は初めて見たんですが、最後のだんまりの場面はあんなにコメディタッチなんですね!

しかもなかなか長尺で。

黙阿弥の七五調のセリフも心地いいし、悪人の魅力が楽しめてしかも笑えるお芝居「加賀鳶」。

好きな演目の一つになりました。


それと、中車さんが道玄を演じてもなかなかいけるんじゃないかと思うんですよね〜

猿翁さんも体調を崩される前、最後に歌舞伎座で演った役でもありますし、近いうちにお父さんに教わって、ぜひ挑戦してもらいたいものです。



河竹黙阿弥 作
盲長屋梅加賀鳶

加賀鳶

本郷木戸前勢揃いより
赤門捕物まで
二代目 市川齋入襲名披露


【あらすじ】

 本郷界隈の家々では、加賀藩お抱えの加賀鳶と旗本配下の定火消しの大喧嘩を恐れ、人々が町木戸を閉め切っています。そこへ血気に逸る加賀鳶が勢揃いしますが、それを止めたのは頭分の天神町梅吉。日蔭町の松蔵が皆の説得にあたり、一同はその場から引き揚げます。
 一方、盲長屋に住む竹垣道玄は、女房おせつと姪のお朝にひどい仕打ちをする小悪党。道玄はお茶の水の土手際で百姓太次右衛門を殺害し、懐中の金を奪います。その場に通りかかった松蔵は、道玄の落とした煙草入れを拾います。その後、お朝の奉公先への強請を思いついた道玄は、言いがかりをつけて金を出させようとしますが、そこへ松蔵が現れ…。

歌舞伎美人より)


【配役】

天神町梅吉/竹垣道玄
        海老蔵

日蔭町松蔵   中車

春木町巳之助  右團次

魁勇次     男女蔵

虎屋竹五郎   鶴亀

昼ッ子尾之吉  巳之助

磐石石松    廣松

お朝      児太郎

数珠玉房吉   男寅

御守殿門次   九團次

道玄女房おせつ 笑三郎

金助町兼五郎  市蔵

妻恋音吉    権十郎

天狗杉松    秀調

伊勢屋与兵衛  家橘

御神輿弥太郎  團蔵

女按摩お兼   右之助改め 齊入

雷五郎次    左團次

歌舞伎美人より)


【上演時間】

103分

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