2018.8「新作歌舞伎 NARUTO」(新橋演舞場)感想

ワンピースに続き、今年はNARUTOが新作歌舞伎として誕生しました。

続くマンガ作品(しかもどちらもJUMP)の歌舞伎化。

面白い流れかもしれません。


NARUTOは1999から2014まで週刊少年JUMPで連載されていたマンガで、主人公は忍者。

連載時はワンピースと人気を二分していた(と思います)2000年代のJUMPを引っ張ってきた人気作品です。


もともと大好きなマンガなだけに、歌舞伎化が決まった時はかなり嬉しかったです!

思うところが色々とありますので、まとめていきたいと思います!

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【ざっくりレポ】

●あんなに長く複雑なストーリーをうまくかいつまんで短くまとめてる

●修行のシーンを舞踊仕立にしてたのすごく良い

●梅丸サクラかわいい

●隼人サスケかっこいい

●猿弥さん自来也がいちばん歌舞伎

●笑三郎さん大蛇丸の声そのまま(笑三郎さんあんな声でるんだね)

●猿之助マダラ不気味でいい

●仏倒れまで見れるとは

●須賀健太くん見にきてた


ざっくりとまとめましたが、こんなところがよかったですね。

梅丸のサクラが可愛すぎました。

男も見紛う可愛さ。。

これは、この作品の大きな魅力の一つだと思います。。マジで。。。


同じマンガ原作の歌舞伎作品であるワンピースに比べ、義太夫もあったし(詩が映し出されててわかりやすく工夫あり)舞踊もあったし、定式幕だし…“歌舞伎っぽい”演出は多かったです。

最後の本水立ち回りも迫力があって会場も盛り上がってました。

いい時間でした!


ただし個人的にいろいろ考えさせられるところも思いついたので書いておきます!


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【思ったこと】

■ストーリーに重きを置きすぎた?

幕あき、九尾襲来の場面にはかなり興奮し、仮面の男の登場に原作ファンとしてトリハダもたちました。

このワクワク感!いい!

ただ、話が進むに連れて長いストーリーをまとめるためか、やたら説明が長いシーンも増え、少し勿体無かったかなと。。。


■戦闘シーンの再現度が難点か…

先にあげたように、ワンピースよりも歌舞伎っぽさはあったように思いましたが、戦闘シーンなどの迫力にはかけたかなと。

(もちろん予算などの差はあると思いますが…)

というのも、私が思うにワンピースの戦闘は「格闘」寄りですが、NARUTOは「術」なんですよね。

そういった意味でもワンピースより再現が難しい。

原作ストーリーの無理な凝縮ではなく、ストーリーはそこそこに忍術をどう見せるかの演出面に重きを置いたら良かった気がします。。。


■歌舞伎っぽいキャラの存在が実は邪魔?

自来也という人気キャラ。

元々は江戸時代に作られた「児雷也豪傑譚」の登場人物がモデルで、歌舞伎作品にもなっています。

原作でもその風貌や言動などが歌舞伎っぽいキャラとして描かれているんですね。

そのため、実際に歌舞伎化されても全く違和感なく猿弥さんが好演していました!よかった!

でもこの自来也という歌舞伎っぽい設定のキャラがいる影響で、そのほかのキャラが歌舞伎とは隔離されてしまった印象があったんですねー。

同じ舞台上に「歌舞伎っぽい」と特別感じるキャラがいるということは、そうじゃないキャラがいるからこそなのかなと。

このNARUTOが新作歌舞伎と謳っている以上、自来也だけに対して歌舞伎っぽいと感じることはおかしいのでは?という感想です。



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と、まあ原作ファン、かつ歌舞伎ファンだからこそちょっと思ったことは書きましたが、楽しめたのでいいのです。

ここを入り口にして歌舞伎ファンが増えてくれたらいいなと思います。

また、NARUTOを知らない人にとっては複雑で追いきれないストーリーだったと思います。

この機会に原作ファンも増えてくれたらいいですね。


巳之助・隼人コンビの活躍と今後への期待、猿之助さんの復活、

そして今の歌舞伎界に置ける二十一世紀歌舞伎組出身者(猿弥さん、笑也さん、笑三郎さん)の重要さを感じた芝居でした。


いつかさらにブラッシュアップさせて、博多座でもやってほしいなあ。。。



新作歌舞伎

NARUTO -ナルト-

【あらすじ】

 かつて忍五大国の一つである火の国に、謎の仮面の男が操る九尾(きゅうび)という巨大な狐の化け物が現れ、国に禍をもたらした。国を守る忍びの里である木ノ葉隠れの里長、四代目火影とその妻は、自らの命と引き換えに九尾の化け物を幼い息子の腹中に封印した。その息子の名前はうずまきナルト(坂東巳之助)。

 十数年後、ナルトは忍者養成学校であるアカデミーに通い、一人前の忍者を目指していたが問題児の落ちこぼれだった。また里を襲った九尾が封印されていることで周囲の人々から嫌われていたこともあり、幼い頃からいつも孤独だった。さまざまな試練を乗り越えてアカデミーを卒業したナルトは、うちはサスケ(中村隼人)、春野サクラ(中村梅丸)とともに、はたけカカシ(嘉島典俊)率いる第七班に配属され、木ノ葉隠れの里の忍者として任務を遂行することになる。

 ナルトは里の皆から認められる存在になることを目指して努力していたが、常に自分より先を行くサスケに対してライバル心を持っていた。だが同時に、サスケがもつ影に対してどこか共感するような思いも持っており、友情を感じていた。

 一方、サスケは、幼い頃に両親を含む一族全員が実の兄、うちはイタチ(市瀬秀和)の手によって殺されるという暗い過去を持っていた。サスケは他人に心を閉ざし、里を抜けた兄を自分の手で殺すことをただ一つの目標とし、誰よりも強くなろうとしているのだった。




 ナルトたちは数々の試練に立ち向かい、やがてナルトの師匠となる自来也(市川猿弥)、五代目として火影を継ぐことになる綱手(市川笑也)との出会い、抜け忍として木の葉隠れを狙う大蛇丸(市川笑三郎)との争いを経て、世界を揺るがす強大な敵、うちはマダラ(市川猿之助、片岡愛之助)を倒すためにナルトの戦いが始まるのだった。


【配役】

うずまきナルト     坂東 巳之助
うちはサスケ      中村 隼人
綱手          市川 笑也
大蛇丸/うずまきクシナ 市川 笑三郎
春野サクラ       中村 梅丸
うたたねコハル     市川 段之
猿飛ヒルゼン      市川 猿四郎
シズネ         中村 梅乃
干柿鬼鮫        安田 桃太郎
薬師カブト       澤村 國矢
水戸門ホムラ      市川 欣弥
うちはイタチ      市瀬 秀和
はたけカカシ      嘉島 典俊
自来也         市川 猿弥
うちはマダラ      市川 猿之助(交互出演)
うちはマダラ      片岡 愛之助(交互出演)


【上演時間】

序幕 :90分

二幕目:55分

大詰 :40分


(公演情報は歌舞伎美人より)

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